トヨタ博物館 年報2025
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トヨタ博物館富士モータースポーツミュージアム リリーフカーは野球選手というごく限られた相手のためだけに製作された車両である。通常の市販車両は誰もが安全に快適に乗車できることを前提に作り上げていくが、このような特殊な車両をどう作っていったのか興味を持った。そのため、単に車両を並べただけの展示にとどまらず、「デザインしている人」「つくった人」「つかっている人」という複数の視点からリリーフカーを捉えることで、モノづくりの背景や思想、現場での工夫を来館者に伝えることとした。 パネルの構成は以下の3点である。尚、原稿レイアウト、印刷、パネル加工はすべて内製で行い、特に文章表現に関しては小学5年生が理解できるよう、担当者が集まって編集作業を行った。例えば社内で日常的に使っている「寸法」は「長さ」に、専門用語についても「モデル」は「模型」に、「モック」は「ウレタンブロック」に言い換えた。①導入パネル「リリーフカーってなんだ!?」 今回の展示を企画した経緯と、そもそもリリーフカーとは何かから説明した。リリーフカーは、ブルペンで準備していた投手をマウンドまで運ぶ役割をするが、このブルペンからマウンドまでの距離が遠い球場で使用されている。現在は、プロ野球12球団中4球団のみで採用している。 リリーフカーは元々、1964年に移動時間短縮のために阪神タイガースのリリーフ投手が阪神園芸のバイクに乗って移動したのが始まりだった。そのうち、球団ごとに形がユニークな車両が登場し、エンターテイメント性を高めていった、という内容を紹介した。②インタビューパネルA 「つかっている人に聞きました!」 本パネルでは、阪神タイガースのリリーフカーをなぜトヨタに発注したのか、その背景や開発時のこだわりについて紹介した。 当時リリーフカー導入に携わった当館館長の榊原と共に、阪神コンテンツリンク株式会社の湯山様、海尾様を訪ね、球団側とトヨタ担当者双方の思いを伺った。取材を通して、リリーフカーが単にピッチャーをマウンドまで運ぶための車両ではなく、使う人の立場に立って細部まで検討された特別な一台であることが分かった。 中でも注目したのが「シートの高さ」をめぐるエピソードである。選手の使いやすさと安全性の両立を目指し、球団側とトヨタが何度も意見を交わし、最終的には球団のスタッフが兵庫県から愛知県豊田市まで赴き、実際に乗車して確認しながら決定した。球団側が、トヨタが提案した一番高い座席を選んだことで、トヨタ側は安全面から、シートベルトを設置することで解決した。ピッチャーがリリーフカー乗車時に、その目的や距離からシートベルトをする必要はないのだが、わざわざ設置したことにトヨタのピッチャーへの配慮と安全へのこだわりを感じた。B 「デザインしている人に聞きました!」 通常の市販車は大勢の人が快適に、安全に乗車できることを目指して製作するが、リリーフカーという特定の人を想定して製作する過程に興味をもった。そこでトヨタ自動車のデザイナーの永津直樹さんにお話を伺った。 永津さんは球団側からの体格の大きい選手の足元を広くしてほしいという要望に、シートを高くすることで解決する 31(2) パネル・関連展示写真4 導入パネル写真1 阪神タイガースリリーフカー写真2 後楽園スタジアムリリーフカー写真3 東京2020大会リリーフカー写真5 インタビューパネル A・B

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